「3歳からでは、幼児教育は遅い」のでしょうか?
わが子の才能や能力を伸ばすには、3歳からの教育は遅いとはいえません。
幼児教育に適切な年齢といわれているのが「3歳」です。
幼児期の脳の発達と幼児教育のタイミングについてお伝えいたします。
幼児教育の意味とは
1歳から6歳までの子どもに対して行う幼児教育を始める時期には、正解はありません。
0歳からの教育も珍しくなく、子供の脳の発達は生まれてから3歳までに急激に発達することが知られるようになってきたこともあり、より早く教育を始めることが重要とされてきていることは事実です。
脳科学の研究により、3歳までの乳幼児期の頃が柔軟性、吸収力、容量ともに人生で一番優れており、この時期に脳に良質な刺激を与えることで、子供が持っている能力を最大限に引き出せると考えられています。
脳が柔軟な時期に幼児教育を行うことによって、集中力や好奇心を養えるため、こうした能力を得ることで子供の将来の可能性を広げることにもつながることが期待できるとされています。
とはいえ、幼児教育は学力を伸ばすために行うものではありません。
この幼児期の発達の特性に照らした教育とは,受験などを念頭におき,専ら知識のみを獲得することを先取りするような,いわゆる早期教育とは本質的に異なる。
幼児教育は,目先の結果のみを期待しているのではなく,生涯にわたる学習の基礎をつくること,「後伸びする力」を培うことを重視している。幼児教育は,次代を担う子どもたちが人間として心豊かにたくましく生きる力を身につけられるよう,生涯にわたる人間形成の基礎を培う普遍的かつ重要な役割を担っている。
【出典:文部科学省『幼児教育の意義及び役割』】
幼児教育の意味は、成長して自立していく過程で必要な「生きる力」を養うものです。知識を増やすことだけでなく幅広い視野で取り組むことが重要です。
子供の脳の発達
幼児教育で子どもの才能を伸ばすのに一番重要なのは、脳の発達に合わせた教育をすることです。
年齢ごとの脳の発達に合った内容や関わり方を意識することが大切です。
0~3歳までの教育については、大脳生理学の有名な研究として「スキャモンの発育曲線」「ベイレイの知能発達曲線」などが挙げられます。これらの研究によると、人間の脳は3歳までに約80%、6歳までに約90%、12歳までに100%完成するというデータがあります。
また、3歳頃になると、脳神経の細胞同士をつなぐシナプスが大人の約2倍も形成されるといわれており、成長が盛んな時期となりますが、それ以降、シナプスは減少していきます。脳の成長は、大脳生理学的には12歳でピークを迎えるといわれています。
そうしたことから、3歳から幼児教育を始めることは、適切な年齢と言わることが多いのです。
また、新生児期・乳児期から3歳の幼児期までは右脳の方が優位に働き、3歳を過ぎると左脳の方が優位に働き、この時期に右脳の発達のための刺激を与えることが重要であるといわれています。
右脳の能力は、情報をイメージとして認識し整理する役割があります。言葉がまだ未発達な3歳前後までは、右脳の働きが活発で成長するにつれ、言語を司る左脳の働きが優位に働くようになってきます。
右脳を鍛えることで、物事の処理能力が早くなったり、長期記憶の能力を高めるといわれており、生活や勉強、ビジネスなど様々な面で将来役に立つことが期待できます。
といっても、幼児教育を始める時期の違いで、はっきりと能力に差がつくことはありません。
それよりも家庭環境や子供の発達に合わせた、無理のない時期に適切な幼児教育を行うことが重要です。
2~3歳の時期は、好奇心旺盛な時期ですので、色々な世界を見せてあげるようにしてください。また、言語能力が急速に伸びる時期でもあり、言葉を覚えるのに最適な時期といえます。
この時期、本の読み聞かせや、繰り返して遊べる積み木やブロック遊びなどの知育玩具を用いた幼児教育が効果的です。
また、3~5歳は運動領域がぐんぐん発達、手先の器用さも身につく時期です。運動や楽器を演奏するなどに向いている時期です。
脳の発達というと、「おべんきょう」的なことに注目をしがちですが、遊びや運動・スポーツの中から子供は様々なことを学んでいきます。
たとえば、子供がサッカー好きであれば、この時期に集中的に取り組むことで集中的に行うことで、脳の運動にかかわる領域に刺激が与えられ、才能は伸びていきます。それにより、子どもに自信がつき、他の才能も伸びていく可能性もあります。
とはいえ、得意なことだけでなく、ピアノの演奏、絵を描く、ダンスなど他のことも楽しみながら、得意なことを伸ばしていく方が様々な能力をバランスよく身につけていくことができます。
幼児教育としては、豊富な選択肢がありますので、どれを選ぶのが良いのか悩んでしまうことでしょう。
ここで重要なのは、子供の気持ちです。
子供の「やりたい!」という気持ちを大切にして、興味を持っているもの、楽しそうにしているものにより、取り組んでいることが幼児教育の効果を高める条件となります。