幼児教育で今注目の「モンテッソーリ教育」。幼児教育として人気の「モンテッソーリ教育」ですが、ご存じのない方もいらっしゃることでしょう。
「モンテッソーリ教育」について、どのようなものか、評判や取り入れ方をお伝えいたします。
モンテッソーリ教育とは
「モンテッソーリ教育」は、イタリアの医師であるマリア・モンテッソーリが、1900年代初めごろに確立した教育法です。
その基本的な考え方としては
- 子どもには、生まれつき自分自身を成長させる力が備わっている
- 大人の役目は、子どもの興味や発達段階を正しく理解し、力を引き出せるような環境を整えること
というもので、「自分を育てる力」を発揮させるためのメソッドで世界に広がっています。
モンテッソーリ教育では、能動的な行動や積極性が身につくといわれています。
今後の社会は、予測できない時代に入っていくといわれていますが、そうした中、子どもには自分で決断し行動しながら生きていく力を身につけて欲しいという親御さん達からの注目を集めています。
将棋の藤井壮太さんや棋士やAmazonの創設者ジェフ・ベゾス、マイクロソフト創設者ビル・ゲイツなどがモンテッソーリ教育を受けたことで有名です。
モンテッソーリ教育の教育法
モンテッソーリ教育は、子どもが自分で自分を育てる力を基に考案されたものです。
子供たちの知能向上に役立つとされるこの教育法は、日本では主に幼児教育の手法として知られていますが、実は幼児教育としてだけのものではありません。
モンテッソーリ教育の考えは、従来の教育とは異なり、発達段階に合わせた教育となっています。人間として完成するのは24歳頃とされており、それまでの発達段階を4段階に分けて定義しています。
第1期 | 0歳~6歳 | 幼年期・乳幼児期 | 変容期 |
第2期 | 6歳~12歳 | 児童期・学童期 | 安定期 |
第3期 | 12歳~18歳 | 思春期 | 変容期 |
第4期 | 18歳~24歳 | 青年期 | 安定期 |
このうち、0歳~6歳の時期の変容期は、人として生まれてきた子どもが、人間社会という「環境」の中で「人間」へと変わっていく。モンテッソーリ教育の中で最も重要な時期とされています。
また、4つの時期は、人間として成長する過程としてつながっているもので、それぞれの時期の特徴を理解することで、子どもの成長を理解し、援助することができます。
モンテッソーリ教育の特徴
モンテッソーリ教育では、子どもたちが自由に自発的な行動・活動に取り組むことが尊重されます。
その特徴としては、主に4つ、「発達段階に合わせた教育」、「環境の整備」、「教具の使用」、「お仕事の時間」があります。
1.発達段階に合わせた教育
モンテッソーリ教育では、0~6歳の変容期の子どもを大きく成長・変容する時期としています。
モンテッソーリ博士は、子どもの観察をしているうちに月齢や年齢ごとに、興味の対象が移り変わることに気がつきました。そして、その時期に子どもは「大人の手を借りずに自分ので何でもやりたい!」という時期であり、その時期に対象の事柄に取り組むことで簡単に吸収できる時期であることを脳生理学的に見出しました。
「運動の敏感期」「言語の敏感期」というように、この時期の子どもは強く特定の分野に興味を示して、同じことを集中して繰り返す「敏感期」であり、この時期にその後の人生を生きていく上で必要な能力の8割が備わる時期であるとしています。
「敏感期」は、また発達段階の特徴から、0~3歳までを「前期」、 3~6歳までを「後期」とし、それぞれの環境を用意します。
0~3歳 | 前期は、「吸収する精神(無意識)」の時期とされています。
人生において最も吸収力が強いこの時期に、社会に適応するために粗大運動の活動・微細運動の活動・日常生活の練習・言語教育・感覚教育・音楽・美術の7つの教育環境を用意します。 |
3~6歳 | 後期は、「意識の芽生え」の時期です。
0~3歳の時にしっかり吸収したことを、整理・秩序化する時期に当たります。 |
2.環境の整備
大人は、この「敏感期」に、一生懸命取り組みながら難なく体得していく時期に即した環境を整備し、きめ細かい支援をしていきます。
大人が子どもに対しては
- 自発的な活動を促すために必要な「教具」を呼ばれるおもちゃを用意する
- 子供の成長過程に合わせて「やってみたい」と思ってもらえるよう「援助者」として接する
ことが求められます。
3.教具の使用
モンテッソーリ教育では、のちほどご説明する5つの教育分野があり、その目的に沿って開発された積み木や糸、文字板、算数棒など独特な様々な教具を使用します。
一見、普通の玩具に見えるかもしれませんが、教具には明確な定義があります。子どもの知的好奇心を引き出しつつ、遊びながら興味を追求していき、次の学びを引き出していくというのが教具の役割です。
教具の主な特徴としては、子どもが取り扱いやすいサイズ・子どもの発達段階に合ったもの・ 子どもの知的要求に応えられるように、系統だてた準備がされている・常に整理整頓され、子どもたちにとって魅力的なものなどがあげられます。
また、モンテッソーリ教育では「本物」にこだわり、生活に必要な具体物を使うことが特徴です。この時期に大切な五感(触る、見る、聞く、嗅ぐ、味わう)を使った実体験から子ども達の知性の芽生えを応援していきます。
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教具として、どのようなものがあるかというと、代表的な感覚教具を3つご紹介します。
◆ひも通し
ひもにいろいろな形の玉を通していきます。穴にひもを通す動きで手先や指先の操作をする力や、色彩感覚や集中力が養われます。
画像:学研の保育用品
◆円柱さし
穴の空いた木箱に直径の大きさや高さの違う円柱をさす動作をすることで、三本指で操作するや円柱の大きさの順序づけを理解していきます。
教具を目で見て、持って、大きさや重さを体験することで、視覚・触覚の感覚も養います。
画像:学研の保育用品
◆ピンクタワー
ピンク色の10個の木製のブロックを大きい順に積み上げていきます。縦・横・高さの3つが変化するタワーを目で見て、持ってサイズの違いや順番を理解することを通し、大きい、小さいといった量の経験をし、算数・幾何的感覚を養います。
4.「お仕事」の時間
モンテッソーリ教育では、普段の子どもたちの活動を「お仕事」と呼んでいます。自分自身を成長・発達させていくために必要な活動なので、そのように呼ばれています。
モンテッソーリ教育では、子ども達は毎日今の自分が興味のある活動や教具を自分で自由に選択することです。集団で同じことをするのではなく、個々に自由に活動をするのです。
子どもの内面から現れる自立への強い欲求から、子ども自身が自分の成長過程に必要な物を自分で「やりたい!」と選び取ることができるように援助するというのがモンテッソーリ教育の方法です。
子どもは、その活動に納得いくまで集中する活動をする過程で、達成感や自信を得て、さらに次のことへ挑戦しようという気持ちとなり大きく成長していきます。
モンテッソーリ教育の園では、1日の間で1時間~3時間程度、「お仕事」の時間を設け、自分の決めたお仕事に取り組みます。
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モンテッソーリ教育の5つの分野
モンテッソーリ教育には、子どもの成長の過程に応じた教育環境の柱があります。
それぞれの発達段階にあらわれる「敏感期」に対応して「日常生活の練習」「感覚教育」「言語教育」「算数教育」「文化教育」の5つの分野で、子どもは知りたい欲求や興味のあるものに取り組んでいきます。
1.日常生活の練習
日常生活の練習の目的は、子どもが自分の手や身体を使いこなせるようになることです。子どもは自分の身体を思うように使えるようになることで、自分のことを自分でするようになり、自信と自立心が育まれます。
子どもは大人の真似をし、体の動かし方を学びます。例えば、日常生活の中の掃除・皿洗い・料理といった活動を通して調和のとれた動きを身につけていきます。
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2.感覚教育
子どもは3~6歳の間に五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚) が著しく発達する特別な時期「感覚の敏感期」があるとされています。「感覚教育」では、これを利用しながら、意識的に感覚器官を使った遊び・練習を実践します。
モンテッソーリ教育では五感を育てるための教具が分野別に用意されており、それらの体験が観察力や識別力を養い、学童期の国語・算数・文化教育の基礎となると考えられています。
3.言語教育
「言語の敏感期」に子供が言語能力を発達させていくのに合わせて、正しい話し言葉、書き方、読み方、文章の仕組みやきまりを身につけるために系統化された教具や教材を使って活動します。
4.算数教育
子供が数字、物の大きさ、量などに興味を示す時期は「数の敏感期」と呼ばれます。棒やビーズなど、発達段階別に用意された感覚教具などを使って、数量について具体物を手で扱いながら理解していきます。
実体験で得た数の概念は、抽象的な考え方や論理的な思考の土台となります。
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5.文化教育
総合学習として、言葉と数以外の、動植物、地理、地学、歴史、道徳(宗教)、音楽、体育、美術などの分野の能力を育みます。
「なぜ?どうして?」という子どもの好奇心や探求心を伸ばします。
おうちモンテ
日本でもモンテッソーリ協会に認められている教育施設や従来の教育法と合わせてモンテッソーリ教育を活用する幼稚園や保育園、幼児教室なども多くあります。
おうちでも、モンテッソーリの思想を取り入れた教育方法を取り入れた教育をしようというご家庭が増えており「おうちモンテ」という言葉が生まれたほどです。
おうちモンテの広がりとともに、書籍やアプリ、玩具なども多く出てきています。
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おはようございます☀
【今日のToDo】
✔︎ コーチング勉強会参加
✔︎ 読書子育ての勉強の為に、#モンテッソーリ メソッドを読みました。基本的な考え方は、
・相手の可能性を信じて関わる
・共感し寄り添うこれって子育てのシーン以外にも、他の人と関わる時大切にしたいことですね🌿✨ pic.twitter.com/T1Yx0ofpyE
— Mayumi🐬女性エンジニア×キャリアコンサルタント (@mayumi_tayun) November 12, 2021
モンテッソーリ教育の評判
メリット
モンテッソーリ教育では、受け身型ではなく、自分が興味関心を持ったことに取り組むことを重視しているため、「積極性が身についた」、「自分の意見がしっかり言えるようになった」、「集中力がついた」という意見があります。
4歳年少の本日の作品たち。合計50個以上。ハサミづかいがとっても上手。色使いも素敵(◍•ᴗ•◍)
自分のしたいことをしたいだけ、存分にさせてくれる環境を提供してくれる幼稚園に感謝。
集中力、指先の器用さ、探究心などやりたいことを出来る環境は色んな力をつけてくれる。#モンテッソーリ pic.twitter.com/oeIEXX2tYF
— あき🌟4児の教育✖️投資 (@ouchi_de_eigo) November 11, 2021
私はモンテッソーリを取り入れた幼稚園に通わせて貰ったからなのか、それとも両親がそう接してくれたからなのか分からないけれど、自分の子供も私とは別の個人だと思ってる
だから尊重するのも、会話するのも当たり前だと思うんだよ— 月 (@nijiiro_bus08) May 11, 2022
デメリット
一方、その裏返しとして、個性を尊重する教育をしているため、「自己中心的な行動を起こしやすい」「協調性が育ちにくい」といった面がある可能性も指摘されています。
息子は2歳半から5歳までモンテッソーリのお教室に通っていたのだけど、そこが心地よくてですね…
小2で不登校になり、居場所探しに2年くらいかかったんですけど、そこはちょっぴりモンテっぽいのかもしれないです。
— ペパ美 (@pepamin321) May 9, 2022