数字は何歳から教えるべき?

数の勉強をする幼児

数字を何歳から教えたらいいのでしょうか?
算数が苦手にならないために、数字を何歳から教えてあげたらいいのかについてお伝えします。
子どもの成長には個人差がありますが、年少、年中、年長の目安となる数の学習の目安についてもお伝えしますので、参考にして下さい。

子ども自身が数を学びたい時期があります

子どもが小学校入学をする前に、算数が苦手な子にしたくないと考えて、「せめて数だけでも教えておきたい」と思われていらっしゃるかと思います。

実際、子どもとお風呂に入った時に1~10までの数を数える「数唱」をやっているというご家庭も多いと思います。

実は、特別な訓練をしなくとも子ども自身が数を唱えたり、数字を指して読んだり、身の回りのものを数えるといった行動は3~4歳頃にはよく見られます。

つまり、子ども自身が数への興味を抱く、数の敏感期が個人差はあれども3~6歳頃にやってくるのです。

この「敏感期」という考え方は最近人気の幼児教育のモンテッソーリ教育の考え方で、子どもが強く何かに興味を持つ一定の時期をいいます。「数を数えたくてしようがない」「数字を見ると読みたくてしようがない」といった時期なので、この敏感期に気がついたら子どもの数の概念を教えてあげる大チャンスです。

その時が来るまでは、日常生活の中で「数」の概念に触れる機会は沢山ありますので、そうした機会を逃さずに利用して教えてあげるようにしたらいいでしょう。

子どもの数の理解

小学校入学前に、「100まで数えらえる!」という子どもは珍しくありません。ですが、それは意味もわからずにお経のように長い言葉を覚えただけのことです。
「イーチ、ニーイ、サーン、シーイ、ゴーオ」と数えた後に「全部でいくつ?」と聞いても答えられない。実際のモノを数えさせてみたら全然数えられない!というのでは意味がありません。

数の概念を理解していくためには、段階を踏んで、数の基礎を育んでいくようにしましょう。数の基礎には、「数唱」、「計数」、「数量」の3つの要素があります。

数の基礎

◎数唱

子どもが数に興味を持った時に最初にすることは、まずは「数を数えられる」ことが基本となります。「イチ、二、サン、シ、ゴ」と口に出して数を数えることを「数唱」といいます。

日常生活では、お風呂に入る時に、「10まで数えたら出ようね」といったことをされているご家庭も多いと思います。数唱は数を理解する一番の基礎となります。

◎計数

次の段階は「数字が読める」ことです。

モノを指さしながら声を出して数えて、モノと言葉(数詞)が一対一対応であることを学んでいきます。

おやつを食べる時に1つずつ数えたり、カレンダーや時計で数を読んだり、日常生活の中でアプローチできる機会はたくさんあります。

◎数字を読む

次の段階は、「数字を読む」ことです。

「1」を見たら、「イチ」、「2」を見たら「ニ」というように、記号である数字を見て言えることができる、つまり数唱と数字が一致した状態となることです。

それぞれの記号の形を理解して覚える必要があります。

たとえば、1から10までを順番に指していったら、「1、2、3、4、5、6、7、8、9、10」と答えられるかもしれません。ランダムに指して、「3はどれ?」と聞いても言うことができれば理解しているということがいえます。

数唱と数字が一致する時期は、4歳以降に発達していき、1~10の数字を読めるのはおおむね5歳頃です。

数字の勉強

◎数量

量として、数を捉えることが「数量」です。大小、上下、長短、多少など、数を比較することができないと計算はできません。

数量感覚は、数についてのセンスのようなもので、数をイメージして量感を持つ感覚を高めることが将来の算数能力につながります。

大小の比較は、早い子であれば1歳代から理解できるようになります。大小からスタートして、子どもの発達に合わせて遊びや生活の中で関心を持てるような工夫をしてあげていってください。

積み木や石集め、おはじきやトランプなど、数量の変化や図形に関心を持てるように子どもの関心に寄り添った言葉掛けをしてあげるとよいですね。

積み木遊び

数を数えると数を理解するは違う

数字を数えることができることと、数を理解している(数の概念がわかる)ことはまるっきり違うものです。「数」を学ぶといっても様々な概念が含まれます。

数を数えるだけであれば、幼児でも10までやその先の数字もどんどん言えるようになります。ですが、それは本当に数の概念を理解しているということにはなりません。

たとえば、みかんを数える時は、みかんを一列に並べて、指で触れながら数と対象物を1対1で対応させていき、「みかんが1つ、2つ、3つ」と順番に数え、最後に「○○ちゃん、みかんが3つあるね」と言って、全部でいくつあるのかを教えましょう。

3つのみかんの個数が3であると示す数は「集合数」と呼ばれます。
また、1番目、2番目というふうに順番を示す数は「順序数」といいます。

順序数を理解している子でも、集合数は理解できない場合もあります。
幼児期の数の理解として重要なのは、その数が表すものの量がわかること、つまり集合数の理解です。

10までの数が数える子に、7つのミカンを並べて「みかんは全部でいくつ?」と聞いてみて「1、2、3……7」と順番に数えていたのに、「10!」とか「8!」と答えてしまうというのは珍しいことではないのです。
全部というのは10のことと思っていたり、次の数だと思ったりする子は多いのです。

10までの順序数と集合数の「意味」を理解することができれば、数のイメージがわかっているので足し算や引き算もできるようになります。

大切なのは、早い時期に100までの数を数えたり、足し算ができるようになることではなく、土台となる数の概念を理解することです。

木のおもちゃで遊ぶ女の子

幼児に数を教える際のポイント

具体物で体感する

できれば、わが子に算数が得意な子になって欲しいことから、幼児期からの教育を行っていこうとしていらっしゃるのだと思います。

算数が得意な子というのは、数学の概念が実際のモノで体感をすることでイメージがしやすくなっている子です。

数の数え方を教える時には、数とモノを一致させることが重要です。そのためには実際のモノを手に取りながら数える練習をするのが効果的です。

ただ暗記をした知識ではなく、数字や数量に対する子どもたちの疑問や関心を引き出し、実際の体験を通して「こういうことか!」という気づきの機会を作っていけるとよいですね。

子ども自身が発見や実感をして面白さを感じることがセンスを磨くカギとなります。

また、教え方には順序があり、ステップを踏んで育んでいくことで数の概念の理解が深まります。ドリルやプリントなどで学ぶ前に、具体的なモノを使って数に親しむ機会を作ってあげましょう。

日常生活での数の勉強

物を数えることのできる機会に、お家の方が数を口に出して聞かせることは習慣にするといいでしょう。
たとえば、おやつをあげる時や積み木やおもちゃ遊びの時、お買い物の時など数を言える場面は沢山あるはずです。

最初のうちは、1〜3までの数を丁寧に、繰り返し教えていくことが重要です。

数は、抽象的な概念なので、すぐには理解できません。日常や遊びの会話で、少しずつ時間をかけて教えていきます。

たとえば、おやつの時間に「お皿にクッキーが何個あるかな?」→「お皿にクッキーを3個入れてね」→大きい皿にボールをたくさん入れておいて「お皿に3個ずつ分けてね」などと少しずつステップアップしていくことで、自然に数字と実際の数を結びつけることができるようになります。

数に関する声掛けをしたときには、子どもの答えがあっていたらたくさんほめてあげましょう。間違っていても、「よく考えたけど、おしいね。もう一回いっしょに数えてみようか。」などどポジティブな対応をしてあげましょう。

お買い物やお手伝いのときなど、ふだんの生活や会話の中にも数字の概念を意識して取り入れていきましょう。

知育玩具を活用する

また、知育玩具で「数の概念」や「図形の概念」を遊びながら好奇心を刺激するのもいいですね。

数の概念をお勉強する定番の知育玩具をご紹介いたします。

◎棒さし

数の概念を学ぶものとしては、固定された棒にリングを通していく「棒さし」はリングの少ない数のものなら1歳児からでも遊べます。棒さしで有名な知育玩具には「プラステン」があります。

棒さし

◎計算おもちゃ

「計算おもちゃ」は、木製のカラフルな数え棒と数字・記号の積み木のセットです。手で触り、形に触れて、数字の並びや形を覚えるところから、数とモノの一致、足し算・引き算・かけ算・わり算までの学習に役立ちます。

◎くまのひもとおし

穴の数や色の違うプラスティック製のくまさんの穴にひもを通して遊ぶ「くまのひもとおし」は幼児教室などでも大人気です。1~5の数をパッと見てわかる練習になります。

「くまのひもとおし」は、イギリスのアンソニーペーター社のものが有名です。また、七田式の教材でも立体的なくものひもとおしを販売しています。

2歳位から手先の訓練や、色や数のお勉強、指先のトレーニングなど色々に使えます。

◎100玉そろばん

10個ずつ連なっているカラフルなそろばん玉の「100玉そろばん」は、1が10個で10。10の塊が10個で100といった計算の概念を理解させやすい構造で、遊んでいるうちに自然と数の構成が学べます。年齢によって様々な使い方ができますし、また、足し算や引き算を教える時にも活躍するので長く使えます。

2歳位なら数字を数えるときに玉を動かしながら数字を数えたり、動かした玉の多い、少ないを尋ねてみたり。3歳になったり、数字のかたまりで動かしたら何個になるかを尋ねたり。様々な数字の遊びを取り入れることができます。

100玉そろばんは、くもんや七田式などから出ています。かなり大きなサイズなので、長く使うものなので使い勝手だけでなく部屋に置きやすいものを選ぶといいでしょう。

◎タングラム

抽象的な数字だけでなく、算数の思考力を養うために、パズルや図形で遊ぶのもよい学習方法です。小さな図形を組み合わせて大きな図形を作って遊んでいるうちに空間認識能力が身についていきます。

形、大きさが違うピースを組み合わせて、指定の形や自分が考えた形を作っていくパズルで何パターンもの形を作り出せます。2歳児位から少ないピースで始めて、簡単なものから始め、少しずつ難しいものを作ることで、達成感も得ることができます。

タングラム

そうしたおもちゃと触れ合いながら自然と数と親しんでいくのもいいでしょう。

年少~年長さんまでの目標

お子さんの成長は様々なので、あくまでも目安として各年齢での数の勉強の目標をお伝えします。

単に数字の数を多く言えたり、計算ができるということではなく、数の概念を少しずつでも正しく理解させていくようにしてあげてください。

年少さん
・10まで数えられるようになろう
・5までの集合数を数えるようになろう
年中さん
・1から10までの数字が書け、30まで数えられるようになろう
・10までの集合数を数えるようになろう
年長さん
たし算、ひき算の土台作りをしよう

基本的な数の概念を理解することで、その後の足し算や引き算などの学習もスムーズに理解することができるため、幼児期に親子で楽しみながら取り組むことをおすすめします。

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