「幼児教育」家庭で就学前にやっておくこと

「幼児教育」として、就学前に家庭でやっておくことで悩んでませんか?
幼児教育の具体的な内容と家庭でどのようなことをやっておくと良いのかについてお伝えします。
幼児教育は、早期教育や英才教育とは違います。
就学前の幼児教育は、子どもの人格形成や思考力の土台をつくることになります。
ご紹介する内容を参考に、工夫しながら幼児教育に取り組んでください。

幼児教育とは

幼児教育とは、乳児期を過ぎた1歳から6歳までの子どもに対して行う教育のことです。「幼児教育」という言葉は知っていても、どういうものかが分からないという方は多くいらっしゃいます。

まず、幼児教育について知っていきましょう。

文部科学省は、幼児教育について以下の通りに定義しています。

この幼児期の発達の特性に照らした教育とは,受験などを念頭におき,専ら知識のみを獲得することを先取りするような,いわゆる早期教育とは本質的に異なる。
幼児教育は,目先の結果のみを期待しているのではなく,生涯にわたる学習の基礎をつくること,「後伸びする力」を培うことを重視している。
幼児は,身体感覚を伴う多様な活動を経験することによって,生涯にわたる学習意欲や学習態度の基礎となる好奇心や探究心を培い,また,小学校以降における教科の内容等について実感を伴って深く理解できることにつながる「学びの芽生え」を育んでいる。

引用:文部科学省 第2節 幼児教育の意義及び役割

「幼児教育=勉強」ではないことがお分かりになったでしょうか?

幼児教育では、生きる力の基礎を養っていく教育のことをいい、様々な経験を積んでいくで、心や体が発達していく子どもたちの人生を豊かにするための基礎を身につけることが可能です

家庭でやっておくべき幼児教育

家庭で行われる幼児教育は、日常の生活の中で身についていきます。この時期に子どもが経験したことが基盤となり「学習の土台」がつくられていくのです。

幼児教育の目的は、知識を身につけていくことよりも、子どもが持つ「好奇心」や「探究心」を伸ばしていくことにあります。

 

家庭でできる代表的な幼児教育としては、

    • しつけやマナーを身につけること
    • 語彙力や話す力、数の基礎学習を行うこと
    • 遊びを通して、感性や考える力を身につけること

です。

しつけやマナーを身につける

この先、人として生きていくうえで必要になるものとして、しつけやマナーは大切です。

「しつけ」は、「習慣づけてほしいことや、やってほしくない行動を教える」ことです。「マナー」は、朝起きてからの挨拶、食事のマナー、「ありがとう」「ごめんなさい」が言えるようになるなどです。

【具体的な実践方法】

家庭内だけでなく、公園で知らないお子さんとコミュニケーションを取る時など様々な場面でしつけやマナーをしていってください。

「図書館は遊ぶ場所じゃないから、走らないでね」などと、やってほしくないことは、具体的に伝えるようにしましょう。また、「おもちゃを貸してあげられたね」などと、できたことを言葉にして認めてあげることも大切です。

食事の挨拶

語彙力や話す力、数の基礎学習

◎語彙力
“語彙力”は、自分の気持ちを伝えたり、物事を考えるためにも必要不可欠です。すべての理解の基礎となります。
全ての学習の基本として、母国語がしっかりと身についていないとどのような能力もなかなか伸びません。

【具体的な実践方法】
「絵本の読み聞かせ」や、読み聞かせのあとに「どう思った?」など、たくさん話しかけたりすることで、お子さんの語彙を増やしていきましょう。そうするうちに、「気持ちを文字で表したい」という思いを育てることで自然と読み書きへの興味も高まります。

幼児期のお子さんなら、親しみやすいひらがなを「読むこと」「書くこと」から始めるのがおすすめです。

◎話す力

語彙力を身につけていくとともに、筋道を立てて考える力、話す力も身につけていきましょう。

順序立てて話す、理由を述べて話すといったことは、コミュニケーション力とともに、国語の読解力につながります。話せる子どもに育てるには親の「なんでそう思ったの?」という聞く力が重要です。

【具体的な実践方法】

自分がどうしてそう思ったか?を子どもが話すためには、考えのプロセスをまとめければなりません。

「どうしてそう思ったの?」「そうだね。たとえばどういうこと?」「なぜなの?」などと繰り返し聞いて、子どもに会話を考える力と構成力を育むようにしてあげましょう。

まだ上手く言葉にならない言葉は、お子さんの表情などからうまくキャッチして、考えを言葉に置き換える手助けもしてあげてください。

◎数の感覚
“数の感覚”をつかんでおくことも重要です。

数字の名前を言う暗唱ができることとものの数が数えられるのは全くの別物です。

暗唱だけでなく、「ひとつ」「ふたつ」などの量の感覚や「1番」「2番」といった順位の感覚もつかんでおきたいところです。

【具体的な実践方法】
絵本の読み聞かせの時、おやつを食べる時、お買い物の時など生活の中には、たくさんの種類の数があります。

「言葉の“数”」と「実際のものの数」が対応できるように、数の感覚に関心を持つことができるように「読みたい絵本を2冊持ってきて」など、声掛けや遊びなどを工夫して働きかけていく必要があります。

ちなみに、ものの数の対応の理解は、3才で3までの数、5才で10前後なのが平均的と言われています。

感性や考える力を身につける

近年は、学校教育で「アクティブラーニング」が注目されているように、子供の考える力を伸ばそうという傾向が強くなってきています。また、文部科学省は、「生きる力」の育成にも力を入れています。

「生きる力」は、『人生をより豊かにしていくためにどうすべきか主体的に考え出すことができる力』と定義されています。

文部科学省の定義する「身体感覚を伴う多様な活動」は、イメージがしづらいですが、「遊び」は身体を動かしていろんな経験ができることです。

子どもが自発的に興味をもったことやものに取り組む活動が、「遊び」なのです。遊びは、将来の「後伸び」につながる好奇心や探求心を養うことにつながります。

遊びの中で、ものごとの違いや共通点を発見する力は、ものごとを整理して理解するために重要な力です。また、自分で予想して、確かめてみる姿勢は、見たことのない問題を解決する力を育てます。

幼児教育は、生きる力の基礎を養うことですが、この生きる力は学力のみのことではありません。

人間性・思考力・判断力・表現力・健康といった力のことで、幼いうちからこの力を養っていくことが将来、社会で通用できるできる人間力を育てます。

幼児期は、IQが飛躍的に伸びる時期であり、早期教育や英才教育の話を聞くとあせってしまうかもしれません。机に向かって勉強をすることだけではなく、五感を刺激し、好奇心や探求心を養うことで、子どもの可能性を伸ばすことにつながります。

親御さんは遊びを通して、発達段階に適した環境を用意して子どもの「考える力」を伸ばしてあげるようにしてあげましょう。

【具体的な実践方法】

普段よく行く公園の晴れの時と雨の時によって変化する様子を観察し、その違いを親子で話し合ったり、子どもが「なぜ?」「どうして?」と感じた疑問についても、「なぜだろうね?」と一緒に考える姿勢が大切です。

子どもが興味を持って心を動かされて、行動に移したいと思う追うな仕掛けができるといいですね。行動に出て上手くいかない時もチャンスです。「どうしたらいいのかな?」と自ら工夫したくなるような働きかけをしてあげましょう。
ままごと遊び

幼児教育はいつ始めるべきか?

結論から申し上げると、幼児教育はいつから始めようか?と思い始めた時、お子さんの様子を見て色々なことに興味を持ち始めた時、など「始めたい!」と感じた時が絶好のチャンスです。

自分の家族に合った方法で、幼児教育に取り組んでみましょう。

ベネッセコーポレーション 進研ゼミ・こどもちゃれんじ

脳科学分野の有名な研究として「スキャモンの発育曲線」「ベイレイの知能発達曲線」などの研究によると、人間の脳は3歳までに約80%、6歳までに約90%が完成するというデータがあるため、3歳頃までに取り組まなければ!とすでに始められているご家庭も多いと思います。

3歳までは記憶力に優れた「右脳優位」の時期ですので、長期記憶を伸ばすような取り組みもできます。

ですが、3歳以上になっていても、幼児教育を始めるのが遅すぎということではありません。脳のシナプスの形成は3歳頃が最も盛んですが、それ以降も脳の成長自体は続き、12歳頃に成長のピークを迎えます。

4歳以降になると、物ごとをよく考えて理解する「左脳優位」に切り替わります。

小学校への入学を視野に入れた幼児教育を行うと、学習の土台づくりとなるような思考力の土台を作ってあげるようにしましょう。

実践するうえで意識するべきこと

発達に合った内容

幼児教育を成功させるために、まず意識したいこととしては、子どもの発達に合った内容なのかということです。

脳の機能が整っていないのに難しい教育を詰め込もうとしても、処理が間に合わずに理解することができません。

月齢や年齢を目安に、脳の機能の成長に合った無理のない教育を行うようにしてあげてください。挑戦している課題は、徐々に難易度を上げていくことがおすすめです。

子どもが楽しんでいるか?

取り組んでいる「子どもが楽しんでいるか」は、重要なポイントです。

脳に良い刺激を与えるには、子ども自身が楽しさを感じつつ、興味を持って取り組むことがもっとも重要なのです。

子どもの様子を大人はしっかり観察して、嫌がったり、疲れている時には休ませるようにしましょう。内容を変えることで、子どもも興味を持つこともあります。

何に興味があるのか、自分でやってみたいことがあるのかなどを、子どもの意見を聞けるようであれば聞いてみることもおすすめです。

また、紙の上の勉強だけではなく、実際にものに触れて、体感して学ぶことは子どもの「もっと学びたい!」という気持ちを育みます。様々なことを体験させ、「やってみたこと」をほめることが重要です。

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