3歳からでは幼児教育は遅い?

書く練習をする子供

3歳からでは「幼児教育」を始めるのは遅いのでしょうか?
3歳以降でも「幼児教育」を始める時期としては、けっして遅くはありません。
幼児教育を始める時期には正解はなく、始める時期の違いで能力にはっきりとした差がつくこともありません。
けれども、一方で「幼児教育は3歳が適切な年齢」とも言われています。こちらでは、ぜ、3歳からの幼児教育が良いのか、3歳とはどのような時期なのかをお伝えいたします。

脳の発達からすると、3歳とはどのような時期?

3歳児は、遊びや言葉、日常生活の行動などで1人でできることが増えてくるので、毎日のように成長に驚かされるのではないでしょうか?人間の脳は3歳までに約80%、6歳までに約90%が完成するというデータがあります。

3歳頃は、脳の記憶に関する発達がピークとなる頃です。

記憶に関する能力がピークとなる頃

人間の脳内には、情報処理をする神経細胞(ニューロン)が、140億~200億個あります。このニューロンが、複雑に結びついて情報伝達することで、脳は発達するとされています。

何かを見る、聞く、触るといった行動や五感を通した刺激は、電気信号となってニューロンに送られ、この刺激によりニューロンとニューロンの間に接続点となるシナプスを作りだし、様々な情報が伝達されるのです。

 

繋がるニューロン

3歳頃には、大人の約2倍ものシナプスが形成され、それ以降はシナプスは減少するとされています。こうしたことから、脳が成長するピークの時期に記憶に関する能力を伸ばしてあげることが重要になります。

日常の日々の中で子どもに多くの刺激を与えることようにすることで、脳の機能を高めていくことができます。

右脳の力を伸ばす時期

また、脳が「左脳」と「右脳」に分かれていることはご存じだと思いますが、この左右の脳は働き方が違います。

  • 右脳・・・「無意識脳」で直感、感性、イメージなど、感覚的に働く
  • 左脳・・・「意識脳」で論理的思考、言語などを司る

個人差がありますが、幼児期は右脳が優位で、右脳の発達のピークは3歳頃と言われています。通常、人は左脳の言語脳が優位となっていて、右脳のイメージ脳はほとんど働かせていません。

右脳は情報をイメージとして認識し整理する役割を果たし、それを文字や言葉などで具体的にするのが左脳の役割です。右脳には、情報量が多くとも瞬時に記憶することが得意で、新しいことでも素早く記憶することができます。

右脳と左脳

3歳は右脳が活発に働いている時期であるため、この記憶力が優れているというのは、3歳前後の子供であれば誰もが持っている能力です。

この時期に記憶力を伸ばすことで、将来の勉強や仕事などで生かせる高い思考力が身につきやすくなります。この時期に様々な学習をすることが望ましいと言われている理由の一つとされています。

心が発達する時期

3歳は、想像力や感受性が大きく発達しはじめる時期と言われています。

「ごっこ遊び」の内容が想像力の発達でより豊かになったり、言葉からその場にないものをイメージすることができるようになります。

また、親との愛着関係をベースに自分以外の他者への思いやりも生まれ始めます。

例えば「◯◯ちゃん、転んでかわいそうだね」という、他者への思いやりをママやパパが示すのを見て、思いやりのある言動や行動を覚えていきます。

言語能力が発達する時期

3歳児は大きく言語能力も発達します。単語を発するだけでなく、文章の形で大人と話せるようになってきます。

「これは何?」と聞いていただけなのが、好奇心や探求心が発達することでさらに一歩踏み込んで「なぜ?」「どうして?」と、原因や理由についてたずねることが増えます。

「なぜなぜ期」と呼ばれる時期で、「なぜ」や「どうして」を通じて子どもの思考力を育むチャンスの時期です。

まずは子どもの気持ちに寄り添って「なんでかなぁ?」「どうしてだと思う?」と反応してあげましょう。わからないことは、親子で一緒に調べるようにしていくと良いでしょう。

3歳児にはどのような幼児教育をする?

お手伝いをする女の子

では、3歳児に対してはどのような幼児教育をすると良いのでしょうか?

実は、「幼児教育」とは、幼児の生活に関わるすべての場で行われる教育のことをいい、様々な種類や方法があります。

ご家庭でできることとしては、「絵本の読み聞かせ」や積み木やブロック遊び、ボール遊びなど、遊びの中で学んでいくということがあります。指先を動かすような遊びは、脳に刺激を与えられます。

また、「お片付け」のような簡単なお手伝いも立派な幼児教育です。「教育」というと、子ども側のみに焦点をあてがちですが、親子で一緒に学ぼうとする姿勢で、子どもが楽しいと思ったり、喜びを感じることが大切です。

 

一般的には、教育教材を使っておうち学習をする、幼児教室や音楽や運動系、語学系などの習いごとをすることも多く行われています。

 

子どもが何に興味を持っているのかを観察して、できるだけ楽しみながら取り組ませることが幼児教育の効果を高めるため条件となります。

無理に学ばせる形にならないように、わが子に合った方法で能力を伸ばしてあげてください。

3歳からの語学教育については、こちらの記事をご覧ください。

3歳からの幼児教育のメリット・デメリット

英語の勉強をする子供たち

幼児教育を取り入れる場合、一般的には「幼児教室に通う」「家庭で取り組む」といったパターンがあります。それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。

幼児教室の場合

幼児教育のプロから教育を受けられるのが「幼児教室に通う」パターンです。幅広い種類の専門的な教育を受けることができます。幼児教室には、さまざまな経験や遊びを通して知識を養い、思考力や判断力、表現力、運動能力を伸ばすメソッドがあります。

主なジャンルとしては、「知育系」「語学系」「スポーツ系」「音楽系」などがあります。

【メリット】

子どもにとっても新しい刺激が得られる

幼児期の子どもは新しい刺激を吸収して成長していきます。幼児教室ではさまざまなプログラムを通して、感性や好奇心を育てていくことができます。子どもの将来の可能性を広げてあげることができます。

・社会性が身につく

ほかの子どもと一緒に学んだり、決められたルール内で行動することで、子どもの協調性・社会性を高めることができます。

・子どもの興味の対象や、得意な分野を知ることができる

幼児教育のプロから第三者の意見を客観的にもらうことができるので、子どもの発達や特性について気が付くことができたり、可能性を伸ばしてあげることができます。

・幼稚園・小学校の受験対策ができる

幼稚園・小学校受験を希望している場合は、志望している幼稚園や小学校の受験に合わせた指導を行います。幼児教室では受験情報を収集・分析をしているのでアドバイスや相談にのってもらえます。

【デメリット】

・経済的に負担がかかる

幼児教室の月謝は、約5,000円から20,000円くらい、受験対策となると約15,000円から30,000円となっています。月謝のほかにも、施設使用料や教材費、入会費、交通費などもかかってしまいます。最終的にどの位費用がかかるのかを確認しておきましょう。

・スケジュールの調整が難しく、親の負担が大きい

幼児教室に通うことで、送迎や一緒に参加する時間をとる必要があります。無理なく通い続けられるかが重要です。発表会や試合などの準備や応援に参加が必要なこともあります。

また、通い始めた後に、下の子どもが授かる場合も多く、そうした場合も無理なくできるのかや仕事に復帰してからもそれまでのように通えるのかを検討しておいた方がいいでしょう。

・プラスの効果ばかりでない時に、ストレスになる

お子さんに合った教室で楽しく通えるとは限りません。子どもによっては、教室の雰囲気になじめず学習や遊びについて行けない場合や、親の期待が大きくなりすぎてプレッシャーを感じてしまう場合などは、子どもにとってストレスになってしまう可能性があります。

家庭の場合

家庭で幼児教育を行う場合は、知育教材や通信教育教材を用いることで自宅で好きな時に幼児教育を行うことができます。知育玩具や絵本、DVDなど、さまざまな教育教材が開発・販売されています。

パソコンのWebカメラやタブレットなどを活用して、オンライン上で幼児教育を行うサービスも最近では人気があります。

【メリット】

・いつでも幼児教育を行うことができる

日常生活の一環として、幼児教育を進めることができます。日頃の買い物やお散歩といったときにでも、意識することで教育をする機会ができます。また、毎週決まった時間に教室に通うことが難しい忙しい人であっても、スキマ時間を利用して教育を実践していくことができます。

・安価に教育を行える

教材などを改めて購入しなくとも、工夫次第で家庭にあるもの教材として利用したり、インターネットを通して無料の動画やプリントなどを利用することもできます。

通信教育教材などの教材を利用した場合でも、幼児教室に通うよりもかなり安価に幼児教育を進めることができます。

・親子の愛着形成が深まる

家庭で親子で行う幼児教育は、親子のコミュニケーションの時間を沢山取れて、親子の絆を深めていくことができます。幼児期の子ども達に、何より必要なことは親子の愛着関係であるとされています。「自分が愛されている」と心から感じることは自立に必要な「社会性」が育つためにもとても大切なことです。

【デメリット】

・家庭以外の他者との関わりが少ない

自宅だけでいると、他の子どもと関わる機会を得られなくなってしまいます。公園に遊びに行く、自宅に友だちを呼ぶなどで他の子どもと関わる機会を持つようにすることが大切です。

・だらけてしまう

いつでも気軽にできる家庭教育は、その分メリハリがつかずにだらけてしまいがちです。子どもの集中力や緊張感を保つのも難しいので、毎日時間を決める、学習する時は場所を決めるなどで継続できる工夫をしてみましょう。

また、お家の中の学習だけでなく、家庭での手伝いや、外で体を動かすなど幅広い体験をさせてあげるようにしましょう。

・子どもに適切な教育を行うのが難しい

親が幼児教育に対して正しい理解を持ったり、幼児教育についての学びを深めるなどの努力をしないと、子どもの興味や発達段階に応じた教育は難しい面があります。

特に気を付けたいのが、子どもの反応を無視して無視して詰め込もうとすれば、様々なリスクを招くことになりかねません。子どもの「やりたい」という気持ちを尊重して、子どもが何に興味を持っているのか観察し、楽しみながら取り組ませることが、幼児教育の効果を高める条件です。

・幼児教育に時間をとられすぎてしまう

好きな時間にできる家庭教育なので、人によっては幼児教育ばかりに時間を割いてしまうというケースも……。親子ともに心身のゆったりした時間も必要です。

勉強という形のものだけでなく、子どもの「今、これが知りたい、やってみたいこと」といった興味や関心に関心を寄せて、さりげなく導く形で関わっていくことが大切です。

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