知能の発達する黄金期の始まりと言われる3歳児に親がやるべきことは何でしょう。
3歳の今、やるべきことは今しかできない教育で将来のための地頭を鍛えることです。
学力だけでなく、思考力・読解力・表現力などといった様々な能力の基礎は、この時期に育ちます。
3歳児は黄金期の始まり
3~6才は、「ゴールデンエイジ(黄金期)」と呼ばれ、脳が最も発達する時期と言われています。
様々な専門家が子どもの能力が高まる時期とし、注目をしています。
子どもの知的好奇心や探究心、前向きな気持ちがぐんぐん育つ時期、この時期に良質な刺激を脳に与えることが脳の発達に重要となります。
「勉強」というよりも、子どもの「面白い!」「何だろう?」「やってみたい!」といった本能的に求める知的成長をサポートすることで知識を詰め込むだけでなく、自分から学んで考える力を育てていくことが重要です。
これからの社会には、自分で考えて物事を解決できる人材が必要だと言われており、それには考える力が重要です。
考える力、思考力はすぐに伸びるものではありません。
今からお子様の将来のために、考える力を伸ばすように意識していってください。
3つの発達のために親がやるべきこと
からだの発達
近年の脳科学や医学の研究成果により、脳を良く育てるには、結局は昔から大切にされてきた早起き・早寝、よく遊び、いろいろなものをよく食べるなどということが大切とわかってきました。
5歳までのこどもの成長には、こころとからだをきちんと整える必要があります。
発達脳科学者の成田奈緒子先生によると、脳の成長には順番があり「からだの脳」→「お利口さん脳」→「こころの脳」の順番に成長をしていき、幼児期は最も大事な「からだの脳」をしっかり丈夫に作る時期だそうです。
最初は「からだの脳(大脳辺縁系、脳幹など)」が育てられます。生命の維持や本能に関わる脳として、大体生後5年くらいをかけて成長していきます。
そして1歳頃から「お利口さんの脳(大脳新皮質、小脳など)」の成長が始まります。この脳は、言語や手指の微細運動、そして思考などを司ります。この脳は、18歳くらいまで時間をかけて育っていきます。
この脳の発達の順番が崩れると、しばしば「こころの脳(前頭葉)」の問題を引き起こします。心の脳は、コミュニケーションや社会性をつかさどる脳で、およそ10歳を過ぎた頃から「からだの脳」と「お利口さんの脳」をつなぐ「こころの脳」が育っていくのだそうです。
そこで、3歳のからだの脳をつくるためには、「早寝」「早起き」「3度の食事」など、基本的な生活リズムを整えることがこの時期、重要になります。3歳までに生活リズムを整えることで、そのリズムが基本になり、将来大人になってからも規則正しいリズムとなる可能性が高いといわれています。
3歳までに「生活習慣」が身についている子どもは、その後の伸びしろが違うというベネッセ教育総合研究所の調査もあります。
基本的な生活習慣としては、栄養バランスのよい食事をとれていること。また、幼児はまだ胃が小さく一度に食べられないことから、食事で摂り切れなかった栄養を補うために「おやつ」を食べることが必要です。おやつは、できるだけ甘いものや味の濃いもの、添加物を避けるようにしましょう。特に白砂糖が入ったものを摂り続けると砂糖依存の体質となってしまいます。
また、身体を動かすといった運動習慣を身につけることも重要です。
身体を使う遊びを意識的に行うこと、多種多様な遊びをすることで運動能力となる基本の動きが身につくとともに、脳がランダムに活性化されます。
できれば日が昇っている間に外遊びをすることがおすすめです。太陽のリズムに従った生活リズムが自然に身につきます。
脳の発達
「お利口さんの脳」は、1歳くらいから18歳くらいまでの間にゆっくりと発達します。
話したり、手先を動かしたり、考えたりする知的な脳の働きの部分です。「賢い子に育てたい」と思う親が一番注目する脳の部分ですが、これはしっかりした「からだの脳」の土台に成り立ちます。
大脳皮質が活発に働くのは小学校入学以降です。それまでは、楽しみながら視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚という五感を通した刺激を与えてあげましょう。
身近な親との言葉のコミュニケーションは、たくさんの刺激となります。
また、子どもは1~2歳頃から手指を使った動きができるようになってきますが、手指の巧緻性は「思考力」「記憶力」「運動能力」などを活性化するので指先を使った遊びを積極的に取り入れると良いでしょう。
こころの発達
この時期に、深い愛情で親や祖父母など身近な大人が子どもとの信頼関係を築くことが重要です。
信頼関係を築くには、子どもが「愛してもらえている」と感じさせることがなりよりです。愛されて守られていることを伝えて、安心させてあげることで基本的な信頼感を育み、その後の子どもの基本的な人間関係や社会性の発達に重要な役割を持ちます。
これは「愛着形成」と呼ばれるものですが、この完成時期は2~3歳頃と言われています。
赤ちゃんをあやしたり、授乳している時に母親から「オキシトシン」が分泌されます。赤ちゃんの体内に入ると、赤ちゃんはリラックスして幸せな気分になることことから、、愛情ホルモンや幸せホルモンとも呼ばれています。
研究が進むについて、オキシトシンは母子以外にもスキンシップによっても分泌されることがわかってきました。
授乳、抱っこ、添い寝など親子でスキンシップをたくさん取るようにしましょう。スキンシップは「自分は生きている価値のある、大切な存在である」と思うことができる自己肯定感を育てるために必要です。
子どもの体がしっかりしてきてくると、身体を使った遊びを家の中や家の外、自然の中で遊ぶようになってくれます。
父親も遊びを通して子どもとの身体の接触が増えることで、父親にもオキシトシンが分泌されます。子どもとの身体的遊びを増やすように心掛けてください。
日常生活の中でできること
人生の土台をつくる大切な時期の3歳までの時期。とはいっても、何かを特別にやらなくちゃいけないとか、習い事に通わせなければならないということはありません。
日常生活の中で、心掛けることでできることがたくさんありますのでご紹介していきます。
子どもとの会話
言葉掛けを行う際、一番大切にして欲しいのは子どもの個性や成長に合わせて、笑顔で子どもの心に寄り添う言葉を掛けることが大前提です。子どもの個性を認める言葉を掛けて、自己肯定感の高い子どもに育てましょう。
「これ何?」の質問が始まる3歳の時期。
子どもが気づいたことや疑問に思ったことは見逃さないようにしましょう。
考える力を鍛える絶好のチャンスです。時には、親御さんの方から疑問を投げかけてもいいでしょう。
そして、すぐに質問への答えを言うのではなく、子ども自身にゆっくり考えさせることが重要です。
お子さんの答えや考えが間違っていても最後まで聞いて、ヒントや質問をあげて考えやすくしてあげてください。
また、親子で一緒に分からないことを図鑑などで一緒に調べてみることも、お子さんの自分で考える力や積極性を育てます。
日常の声掛けの際には、質のいい声掛けで質の良い脳と心を育んであげるようにしましょう。
子どもが「ワンワン」と言ったりするときに、「そうだね、ワンワンだね」「白くて、小さいかわいい柴犬だね」といったように色や数、大きさ、名前などの情報を加えてあげるようにしましょう。
多くの情報をのせるように、身の回りを実況中継するような気持で話しかけてあげてください。
3歳児はまた「イヤイヤ期」、反抗期といった複雑な成長過程にいます。語彙が増えた3歳児ですが、まだ自分の気持ちをちゃんと表すことができずに、泣きわめいたり、叩くといった行動をしているかもしれません。
まずその子どもの気持ちに寄り添い受け止めてあげて「今は、やりたくないんだよね」「自分でやりたかったのに、ママがやってしまったんだよね」と言うように子どもの気持ちを代弁してあげると「理解しようとしてくれている」と安心します。
また、「〇〇しなさい!」という命令する言い方には反抗する子どもも「〇〇してみない?」という言い方をすることで受け止めやすくなることがあります。イライラしたり、ストレスを感じたりすることもあるかもしれませんが、子どもを受け入れてあげる姿勢が大切です。
おもちゃ遊び
3歳ともなると、テレビゲームやスマホアプリ、Youtube動画などの刺激的な情報を受けられるおもちゃに夢中になるかもしれません。小さい頃はできれば、自分自身の力で遊びを生む出す時間が大切です。
3歳の子どもに与えるおもちゃとしては、2つの要素「想像力や手先の器用さを伸ばせるかどうか」を判断の基準にするとよいでしょう。
※子どもの発達の程度は、個人差が大きいので対象年齢にこだわることなく、子ども自身の発達段階にふさわしいおもちゃを与えることが大切です。
◎「ごっご遊び」のできるおもちゃを選ぶ
ごっこ遊びは、自分で世界をつくり上げ、自分ではないものになりきる遊びで、イメージや想像力が大きく養われます。
おままごとセットやお店屋さんセット、乗り物、人形、ぬいぐるみなどを選んであげましょう。
◎「手で作る」おもちゃを選ぶ
手先を使うおもちゃは手先とともに、自分でものを作りあげる達成感を育みます。自分で作ることができた!という達成感は次へと向かう意欲や自信につながります。また、手で作りあげる取り組みの中で、思考力や粘り強さも養っていくことができます。
ブロックや積み木、粘土を与えてあげましょう。この頃になると、ハサミをつかって遊ぶこともできるので、紙やハサミを使って遊ぶこともおすすめです。
おもちゃは、沢山の量があればいいというものではありません。おもちゃが多すぎると、集中力や想像力が落ちてしまいます。
様々な遊び方のできるおもちゃほど、考える力がつきます。なるべく、一つのおもちゃで工夫して遊ぶことのできるおもちゃを与えるようにしましょう。
フラッシュカード
「フラッシュカード」は、幼児の目の前で、絵や文字のカードを瞬いて見える位素早くカードをめくっていくことで「大量の情報を脳にインプットし、知識をインプットさせる」という取り組みです。
このフラッシュカードは、七田式が有名ですが幼児教室などでも取り入れられています。下の動画は、七田式のかなカードの動画です。子どもと向かい合って、1枚を1秒以下でめくると同時に読み上げるようにして一気にカードの束を見せていくという手法をとります。
幼児期には「映像記憶」能力という見たものの細部までを丸々頭に記憶する能力が備わっているのですが、思春期以前になるとこの能力は失われるとされています。成人後もこの記憶力の能力を使えるようにトレーニングする方法として広まったのがフラッシュカードです。
フラッシュカードによって、数字や漢字、植物の名前、虫の名前、乗り物、食べ物の名前などをどんどん覚えさせることができ語彙力がアップします。また、多くの知識を一瞬で身につけることができるので、子どもは物知りになることができ、幅広く興味を持ったり、学ぶ楽しさに目覚めるかもしれません。
フラッシュカードは、早期教育を指向する方が行うことが多く、子どもの自主性を無視した受け身型のメソッドであり、パターン化した知識を詰めこむことになるという弊害も指摘されている手法です。
行う場合は、子どもがやりたい!と思うまではやらない、短時間で終わらせる、実際にモノを体感するといったことに気をつけながら行うように注意することが重要です。
衝撃?!
フラッシュカードは難聴児に取って無意味?!
カードを覚えたり取れるようになるが、現実世界と紐付かないらしい
りんごのカードは取れるが、りんごが取れない🍎療育を独学で頑張っているママさんがフラッシュカードに流れてしまうことはよくあるらしい
頑張っているのにそれはつらい。。
— デフツインズ (@deaftwins) June 9, 2022
読み聞かせ
「読み聞かせ」は、耳で聞いてイメージをふくらませる想像力がつきます。また、様々なものに対しての好奇心も高められます。
3歳児は、さまざまなものに興味を示し、言葉もどんどん覚えていくころです。このころになると、しっかりとストーリーのあるお話を楽しめるようになってきて、自分以外のモノの感情を想像することもできるようになってきます。
好奇心も旺盛なので、想像力をかきたててくれるような絵本を選んであげるとよいでしょう。
同じ本を繰り返し読むのも「くり返し学習」の基本です。お気に入りの本は、面倒くさがらず、つきあってあげましょう。
絵本にあまり興味を示さない子には、物語などだけでなく、仕掛けのある絵本や図鑑なども含めて、子どもが興味を持っているもの、好きなものを題材とした本を選ぶようにしてあげてください。「本は楽しいもの」というイメージを持ってもらうことが大切です。
様々な遊び(ごっこ遊び、外遊び)
子どもの喜ぶ遊びを通して、様々な言葉やモノに触れさせて「自分で考える」体験を沢山させてあげましょう。
そうした体験が、知的好奇心をより豊かに伸ばします。
3歳の考える力を伸ばすには、ふだんの遊びが基本です。
たとえば「ごっこ遊び」も、その1つです。
まだ友達と役割を調整したりは難しいので、ママ・パパと役になりきって会話をすることで、言葉や数、知識などが必要となり、やりとりする力や表現力が磨かれていきます。
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「外遊び」は、五感すべてを使います。
キレイな景色を見たり、花の匂いを嗅いだり、直接手に取って触ったり食べたりすることは、健全な脳を作るのに欠かせない要素です。
自然の中には無限の情報量があるため、自然と触れ合う外遊びは、子どもの創造性、自発性を育みます。自然といっても、遠くまでに行かなくとも、近所の公園などでOKです。
お家でアプリを見たり、ゲームばかりをしているような子には外遊びもさせてあげてください。