幼児教育の効果は、様々な研究によって実証されています。
幼児教育の効果として、学力(認知的能力)の土台を作る、非認知能力を高めることの2つがあります。
幼児期の教育によって、将来の成績や収入などにも影響をすることがわかってきています。
こうした幼児教育の効果についてお伝えいたします。
幼児教育の重要性
「幼児教育」は、1歳~6歳までの未就学児の間に行う教育を言います。
幼児教育を行う場は、保育園や幼稚園などのほか、幼児教室以外にも家庭や習い事、通信教育などがあります。
幼児期の教育の重要性として、この時期の神経系の飛躍的な発達があります。
大脳生理学の発達により、人間の脳はおおよそ3歳までに80%、6歳までに90%、12歳までに100%完成することが分かってきました。
また「スキャモンの発達・発育曲線」は、ヒトの成長を一般系(骨や筋肉の発達)、神経系、リンパ系、生殖系の4つに分類したものですが、脳を含む神経系は5歳頃までに 80%の成長を遂げ、12歳でほぼ 100%になります。
画像:こころの科学
幼児教育の効果「認知能力」と「非認知能力」
幼児教育は、様々な体験を通して子ども自身で考えて行動したり、コミュニケーション能力を磨いたりすることで、子どもの人格形成や思考力の土台となり、生涯にわたって影響するものです。
こうした幼児教育は成果が見えにくく、子どもがきちんと身についたのかどうかをわかりづらい傾向があります。
人間の能力は、大きく「認知能力」と「非認知能力」の2種類に分けられます。
認知能力 | IQ(知能指数)に代表されるような、点数などで数値化できる知的能力 |
非認知能力 | 健康や根気強さ、意欲、自信といった社会的・情動的スキルのように数値化しにくい能力 |
この2種類の能力は幼少期に発達し、その発達は家庭環境によって左右されます。
また、この2つの能力は幼少期に何らかの対策を行うことによって、大人になってから明らかに効果的な成果があると確認されています。
※アメリカの長期的な実験 1962年~1967年「ペリー就学前プロジェクト」、1072年~1977年「アベセダリアンプロジェクト」
この2つの実験で、幼児教育を行ったグループと特別な幼児教育を受けていないグループの比較において、共通の結果が確認されています。
どちらも教育を受けているグループの方が学力検査の結果の成績が良いといったこと結果が出たのです。
それ以上に、注目すべきこととしては、「認知能力(IQ)の差は実験終了後4年たつとすっかり消えた」のに対し「非認知能力をはじめとするIQ以外の主要な効果は継続した」という点です。
近年、幼児教育を語る時に重要視されるのが「非認知能力」です。
非認知能力は、学力的な賢さ以上にその後の人生に影響を及ぼします。
先ほどの実験では、生涯賃金や就労、労働経験年数、大学進学、十代の妊娠、危険な活動への従事、健康管理、犯罪率などに大きく影響することが証明されています。
幼児期に「非認知能力」を育む
最近の研究では、「認知能力」よりも、「非認知能力」の方が将来の成功につながるということがわかってきています。
非認知能力は、教えて身についていくものではありません。
・子どもが好きなものに夢中になる
・家族は自分のことを好き、愛されているという自己肯定感
・自分の気持ち・感情をコントロールできる
・他者を思いやったり、コミュニケーションできる
こうしたことから養われていきます。
幼児期のわが子に、教育をしてあげたいと思うならば、頭に置いておきたいキーワードが「非認知能力」です。
目に入ってきやすい「認知能力」の結果にとらわれずに、子ども自身が色々なことに興味や関心を持てる環境を作ってあげるようにしてあげましょう。